「愛犬が、四六時中、体を掻きむしっている…」「皮膚が赤く炎症を起こして、ただれている…」「脱毛がひどく、地肌が見えている…」
愛犬のそんな症状に、心当たりはありませんか?もしかしたら、それはアトピー性皮膚炎かもしれません。
犬のアトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う慢性的な皮膚病で、犬のQOL(生活の質)を著しく低下させます。 完治が難しい病気ですが、適切な治療とケアを続けることで、症状をコントロールし、愛犬の快適な毎日を取り戻すことができます。
「でも、具体的に何をすればいいの?」
そんな悩みを抱えている飼い主さんのために、この記事では、犬のアトピー性皮膚炎の原因や症状、食事でできること、アトピー性皮膚炎の犬向けフードの選び方、そして食事以外のケアまで、詳しく解説します。
愛犬の辛いかゆみと皮膚炎を和らげ、健やかな皮膚を取り戻すために、今日からできるアトピー性皮膚炎対策を始めましょう!
「掻きむしる姿が痛々しい…」愛犬のアトピー性皮膚炎、どうすればいいの?
犬のアトピー性皮膚炎ってどんな病気?
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に絡み合って発症する、慢性の皮膚病です。 特定の物質(アレルゲン)に対して、体の免疫システムが過剰に反応することで、皮膚に強いかゆみや炎症が起こります。
なぜ?犬のアトピー性皮膚炎、原因は?
犬のアトピー性皮膚炎の原因は、完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
遺伝的要因: 特定の犬種(柴犬、フレンチブルドッグ、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなど)は、アトピー性皮膚炎を発症しやすい傾向があります。
環境的要因: ハウスダスト、花粉、カビ、ノミなどの環境中の物質がアレルゲンとなり、アレルギー反応を引き起こします。
皮膚バリア機能の低下: 皮膚のバリア機能が低下すると、アレルゲンが皮膚から侵入しやすくなり、アレルギー反応が起こりやすくなります。
食物アレルギー: 特定の食品に含まれるタンパク質がアレルゲンとなり症状を悪化させることがあります。
見逃さないで!愛犬のアトピー性皮膚炎のサイン
アトピー性皮膚炎の主な症状は、「強いかゆみ」です。 愛犬が、以下のような行動を頻繁に繰り返している場合は、アトピー性皮膚炎の可能性があります。
体を掻く: 後ろ足で体を掻いたり、壁や床に体を擦り付けたりする。
舐める: 体、足先、顔などを頻繁に舐める。
噛む: 体や足先を噛む。
皮膚の異常: 皮膚が赤くなる、湿疹ができる、フケが出る、脱毛する、皮膚が厚くなる、色素沈着が起こるなど。
これらの症状は、特に、顔、耳、脇の下、内股、足先などに現れやすいです。
放置するとどうなる?アトピー性皮膚炎のリスク
アトピー性皮膚炎を放置すると、以下のようなリスクがあります。
皮膚の二次感染: 掻きむしることで皮膚が傷つき、細菌や真菌に感染しやすくなります。
慢性化・重症化: 症状が慢性化し、治療が難しくなることがあります。
QOL(生活の質)の低下: 強いかゆみによって、睡眠不足や食欲不振、活動量の低下などを引き起こし、愛犬のQOLを著しく低下させます。
獣医さんと連携!アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎は、完治が難しい病気ですが、獣医さんと連携し、適切な治療とケアを続けることで、症状をコントロールし、愛犬のQOLを向上させることができます。
アトピー性皮膚炎の治療には、
薬物療法: かゆみや炎症を抑える薬(ステロイド、抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬など)を使用します。
シャンプー療法: 低刺激性のシャンプーを使用し、皮膚を清潔に保ち、かゆみを和らげます。
食事療法: アレルゲンを除去した食事を与え、皮膚の健康をサポートします。
環境対策: アレルゲンとなる物質をできるだけ排除し、清潔な環境を保ちます。
減感作療法: アレルゲンを少量ずつ投与し、体を慣れさせることで、アレルギー反応を抑える治療法です。
などの方法があります。
どの治療法が適切かは、愛犬の症状や獣医さんの判断によって異なります。 まずは獣医さんに相談し、愛犬に合った治療計画を立ててもらいましょう。
アトピー性皮膚炎の愛犬に、食事でできること
食事が大切な理由
「アトピー性皮膚炎なのに、なぜ食事が大切なの?」
アトピー性皮膚炎の犬は、皮膚のバリア機能が低下しているため、食物アレルギーを発症しやすい傾向があります。 特定の食品に含まれるタンパク質がアレルゲンとなり、皮膚のかゆみや炎症を悪化させてしまうことがあります。
食事療法は、アレルゲンを除去し、皮膚の健康をサポートする栄養素を積極的に摂取することで、アトピー性皮膚炎の症状を緩和することを目的としています。
アトピー性皮膚炎の犬に、おすすめの栄養素
アトピー性皮膚炎の犬には、以下の栄養素を積極的に摂取することがおすすめです。
オメガ3脂肪酸
DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸は、炎症を抑える働きがあり、皮膚のかゆみや炎症を和らげる効果が期待できます。 青魚(サバ、イワシ、アジなど)、サーモン、マグロ、亜麻仁油、エゴマ油などに多く含まれています。
オメガ6脂肪酸
リノール酸やγ-リノレン酸などのオメガ6脂肪酸は、皮膚のバリア機能を高め、乾燥を防ぐ効果が期待できます。 植物油(コーン油、大豆油など)に多く含まれています。
ただし、オメガ6脂肪酸は、過剰に摂取すると炎症を悪化させる可能性があるため、オメガ3脂肪酸とのバランスが重要です。 理想的なバランスは、オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸=1:2~1:4程度と言われています。
良質なタンパク質
タンパク質は、皮膚や被毛の健康を維持するために欠かせない栄養素です。 低アレルゲン性のタンパク質源(魚、ラム肉、鹿肉など)を選びましょう。
ビタミン・ミネラル
ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB群、亜鉛、セレンなどは、皮膚の健康をサポートする働きがあります。 バランスの取れた食事を心がけ、必要に応じてサプリメントで補うのも良いでしょう。
抗酸化物質
抗酸化物質は、体内の活性酸素を除去し、細胞の老化を防ぐ働きがあります。 皮膚の炎症を抑え、バリア機能を高める効果も期待できます。 色の濃い野菜や果物(カボチャ、ニンジン、トマト、ブルーベリーなど)に多く含まれています。
要注意!アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性のある成分
以下の成分は、アトピー性皮膚炎を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。
特定のタンパク質: 牛肉、鶏肉、乳製品、小麦、卵、大豆などは、アレルゲンとなりやすい食材です。
人工添加物: 着色料、香料、保存料などの人工添加物は、アレルギーの原因となることがあります。
穀物: とくに小麦はアレルゲンになりやすい
手作り食という選択肢も
「市販のフードは、何が入っているかわからないから不安…」
そんな飼い主さんには、手作り食という選択肢もあります。
手作り食なら、愛犬のアレルギーや体質に合わせて、食材を自由に選ぶことができます。 また、添加物を一切使用しない、安心・安全な食事を与えることができます。
ただし、手作り食は、栄養バランスが偏りやすいというデメリットもあります。 獣医さんやペット栄養管理士に相談しながら、適切なレシピを作成するようにしましょう。
愛犬にぴったりのフードは?アトピー性皮膚炎の犬向けフード選びのポイント
パッケージのココをチェック!原材料表示の見方
アトピー性皮膚炎の犬向けフードを選ぶ際は、まず、パッケージの原材料表示をチェックしましょう。
原材料は、使用量の多い順に記載されています。 愛犬のアレルゲンとなる食材が含まれていないか、必ず確認しましょう。
タンパク質源: 肉、魚、卵、乳製品、大豆など、タンパク質源となる食材をチェックしましょう。 「チキンミール」「ミートミール」などの曖昧な表記は、アレルゲンが特定できないため、避けた方が良いでしょう。
穀物: 小麦、トウモロコシ、米などは、アレルゲンとなる可能性があります。 穀物不使用(グレインフリー)のフードを選ぶのも良いでしょう。
添加物: 人工着色料、人工香料、保存料などの添加物は、アレルギーの原因となることがあります。 できるだけ添加物の少ないフードを選びましょう。
「低アレルゲン」「アレルギー対応」フードって?
「低アレルゲン」「アレルギー対応」と表示されているフードは、アレルゲンとなりやすい食材の使用を控えたフードです。
しかし、「低アレルゲン」「アレルギー対応」の明確な基準はなく、メーカーによって基準が異なります。 「低アレルゲン」「アレルギー対応」という言葉だけに惑わされず、必ず原材料表示をチェックし、愛犬に合ったフードを選びましょう。
グレインフリー、グルテンフリーは?
グレインフリー: 穀物全般(米、小麦、トウモロコシ、大麦など)を使用していないフードのことです。
グルテンフリー: グルテン(小麦、大麦、ライ麦などに含まれるタンパク質の一種)を含まないフードのことです。
グレインフリーやグルテンフリーのフードは、穀物アレルギーを持つ犬に適しています。 しかし、穀物アレルギーでない犬にとっては、必ずしも必要ではありません。
信頼できるメーカーを選ぼう!
アトピー性皮膚炎の犬向けフードは、様々なメーカーから販売されています。 信頼できるメーカーを選ぶためには、以下のポイントを参考にしましょう。
情報開示がしっかりしている: 原材料、製造工程、品質管理など、情報を積極的に開示しているメーカーは、信頼できる可能性が高いです。
獣医師や専門家と連携している: 獣医師やペット栄養管理士などの専門家と連携して、製品開発を行っているメーカーは、より安心です。
お客様相談室がある: お客様相談室があり、質問や相談に丁寧に対応してくれるメーカーは、信頼できます。
食事以外にも!アトピー性皮膚炎の愛犬のために、飼い主さんができること
皮膚を清潔に保つ!シャンプー&ブラッシング
アトピー性皮膚炎の犬は、皮膚のバリア機能が低下しているため、皮膚を清潔に保つことが重要です。
シャンプー: 低刺激性のシャンプーを使用し、獣医さんの指示に従って、適切な頻度でシャンプーしましょう。 シャンプー後は、しっかりとすすぎ、ドライヤーで乾かすことが大切です。 保湿剤を使用するのも効果的です。
ブラッシング: 毎日ブラッシングを行い、皮膚の汚れや抜け毛を取り除きましょう。 ブラッシングは、血行促進や、皮膚の新陳代謝を促す効果もあります。
ストレスを軽減!快適な環境づくり
ストレスは、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因の一つです。 愛犬がリラックスできる、快適な環境を整えましょう。
十分な睡眠: 愛犬が安心して眠れる場所を用意し、十分な睡眠時間を確保しましょう。
適度な運動: ストレス発散のために、毎日適度な運動をさせましょう。 ただし、過度な運動は、症状を悪化させる可能性があるので獣医と相談して決めましょう。
安心できる居場所: 愛犬専用のクレートやベッドなど、安心できる居場所を用意しましょう。
スキンシップ: 優しく撫でたり、マッサージしたりすることで、愛犬とのコミュニケーションを深め、リラックスさせましょう。
獣医さんと連携!定期的な健康チェックと適切な治療
アトピー性皮膚炎は、完治が難しい病気です。 獣医さんと連携し、定期的な健康チェックを受け、症状の変化に合わせて適切な治療を受けることが大切です。
まとめ: 愛情と知識で、愛犬のアトピー性皮膚炎に立ち向かおう!
愛犬のアトピー性皮膚炎は、飼い主さんにとって、本当に辛いものです。 しかし、諦めずに、適切な対策を講じることで、症状を緩和し、愛犬のQOL(生活の質)を向上させることができます。
今回ご紹介した情報を参考に、
- アレルゲンに配慮した食事を与える
- 皮膚を清潔に保つ
- ストレスを軽減する
- 獣医さんと連携する
など、愛犬に合ったアトピー性皮膚炎対策を実践してみてください。
そして、高品質な原材料を使用し、アレルゲンに配慮した「アレルギー対応フード」や、「低アレルゲンフード」、特定のタンパク質を使用した「療法食」なども選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。
愛犬の笑顔と健康のために、飼い主さんにできることはたくさんあります。 愛情と知識で、愛犬のアトピー性皮膚炎に立ち向かいましょう!